存在証明
目に見える評価や証がなくたって充分だと、思える人がいちばん強いのだ
ほんとうにうつくしい人というのは、それを求めていないのだ
大衆からの評価を気にするからこそ、心も貧しくなっていくのだ
って、んなこともう5年前から知ってるわぼけ
いまさらそんなこと言われてどうしろと?
知っててなお気にする、治らない
だからくるしいんでしょ、いらない劣等感抱えてさ
こんなん捨てたいに決まってるじゃん
捨てられないからまだ抱えてるんじゃん
わかってくれなくてもいいけど、そういうもんなんだよ
うつくしい人を知っている
顔だけでなく、心もうつくしい人
彼女は求めない
いまあるものの大切さをわかっていて、だいじにできる人
わたしとはちがう人
ないものねだりも嫉妬も、無駄なあがきもしない人
生き様すらも、うつくしい人
心の貧しさ、隠せないよね
醜くもがいてるのも、隠せてない
いつだってぐらぐら揺れているのも、ぜんぜん隠せない
それでも、隠せてない傷が愛しいって言ってほしいね
見えちゃってるからかわいいって言ってほしいよね
こぼした涙も汚い欲張りも、こらえる弱さもなけなしの強がりも、ぜんぶぜんぶわたしのためのものだから
凛と前を向けなくたって、現状を愛せなくたって
この感情たちだけが、わたしのためだけに存在してくれているものだから
だいじにしたいな、だいじにしてほしいな
あなたの感情が報われますように
報われない感情がいなくなりませんように
わたしの心をどうしたって支配する感情が、見て見ぬふりをしている感情が、誰に見てもらえなくたってわたしの存在証明だ
■
子供のちいさな笑い声と、シャーペンが紙をすべる音が響く場所に規則正しく毎日通う
朝9時から夕方6時まで、わたしはなにも発さない
口の中で時々英単語がこねくり回されて、飲み込めないまま消えていく
たとえば、experienceとか、environmentとか、governmentとか、そういったかわいらしさもなにもない単語ばかり
誰かの椅子がガタリと音を大きく立てる
じろり、と一斉に、2×たくさんの目がこちらを見る
息が詰まる
ここで、理想の女の子の話をしよう
わたしの、理想の
すきな映画はアメリ
小さい頃にすきだった服のブランドはmezzo pianoで、今はAnkrougeとHoney cinnamon
すきな色はピンク
すきなたべものはマカロン
そんな女の子には一生なれない
残念でした、また来世
輝きを放つみなさまへ
与えられる人になりたかったなぁ
昨日テニミュに行ってきたんです
相も変わらず最高を極めていてもうほんとにだいすきだと思いました
テニミュも、コンサートも、舞台も、終わったあといつも「また来たい」って思うんですよね
それって「生」じゃないですか?
また、を考える、これから先のまだ決まっていない未来のことだけど、またここに来たいと思った、それってそれまで生きることを大前提にして考えてるんですよ
そのときわたしは「生」に触れているんです
こんなに毎日毎日希死念慮に侵されているくせに!
笑っちゃうけどそれに初めて気づいたとき、あぁあの人たちって、エンターテインメントってなんて大きな力を持ってるんだろうなってちょっと泣いちゃったんです
テニミュだけじゃなくて、セクゾも、アイドルも、ミュージカル、舞台、それこそ身近なところで言えば映画や小説、漫画だって
それらっていったい、今まで何人の人を救ってきたんだろう
古代ギリシャやローマで、劇場が病院だったように
最上の処方薬とはエンターテインメントで、魔法とはそこにあるのかもしれないと思うのです
でもわたしこの間まで、それって、アイドル、俳優、漫画家、小説家、そういう、神に選ばれた人達だけができることだと思ってたんです
おんなじクラスのある女の子が言ってたんです
その子はこれまたおんなじクラスの男の子に「推し」がいるんですよね
(ちなみに彼女いわく、付き合いたいとかいう気持ちは一切なく、ただただ見守りたい、こっちに気づいてほしくもない、ただ幸せになってほしいだけだと言うんです。その気持ちめっちゃくちゃよくわかる、ヲタクってそうだよね)
今までまったく身なりに気を使ったこともなかった
髪の毛も天パのまま、前髪なんてあげとけばいいって思ってた
でも、○○くんと同じクラスになってから、彼の視界に見苦しい姿を入れる訳にはいかないと思って、毎日時間をかけて前髪をアイロンで伸ばして、お風呂上がりには化粧水とかつけ始めて、ちょっと、ほんのちょっとだけマシになったと思う
毎日、ちょっとだけ楽しくなった
って
彼にかわいい姿を見せたくて
とか
すきになってほしくて
とかじゃないのが愛すべきヲタクだな~!笑と思うんですが(笑ってますがわたしもそうです)、それってすごくないですか?
あくまで彼はただちょっと顔がいい一般人なんですよ
なのにひとりの女の子をこんなに変えさせたんです
毎日が楽しいって言わせたんです
毎日が楽しいということは、生きることが苦じゃないってことです
恋の力はすごいって言うけどさ、彼女いわく恋じゃないこれは、恋と同じくらい、もしかしたらそれより大きな希望を与えていませんか?
この話を聞いたときわたし、なんにも関係ないのに心底うれしかったんです
人ってすごいよね
エンターテインメントを生み出して誰かを救う人も、そこにいるだけで誰かの救いになる人も、すごいなぁほんとにすごい、泣いちゃいそうだ
わたしもそっち側に、行きたかったなぁ
救いを望む人でもありたいけど、救いになれる人のほうに行けることなら行きたかったなぁ
何かに生み出せる手だったらよかった、何かを紡げる口だったらよかった、何かを想起できるあたまだったら、誰かを笑顔にさせることのできる天賦の才があったら!
いつまででも、ないものねだりをしてしまう
しぶとくあきらめ悪く醜く、夢想する
何をしたって、そちら側には行けないよって心の中で誰かが笑う
だから、いつか輝きで灼き殺されたかったのに、輝きを受けるたびに、生きたいって思わされるのはずるいなぁ
だいすきだよありがとうこれからも
わたしの愛しい、輝きを放つみなさまへ、愛をこめて
18歳になったらしい
無題
なみだがでる
なにもしていないのに、むしろなにもしていないからこそ、なみだがでる
悔しくて苦しくて不甲斐なくて自分が嫌いでなみだがでる
青くて若くて弱くて脆くて痛くて苦しくて目も当てられないほどの、まいにちの「わたし」の感情が、まいにちの「わたし」の日常が、スローモーションのように何事もなく、けれども屈折した景色が回るほどに目まぐるしく過ぎていく
昨日の愛せなかったわたしも、今日も愛せなかったわたしも、どうしても解けないまま1時間経った二次関数の問題も、何周しても覚えられない英単語帳も、ぜんぶぜんぶがわたしを責めたてて煽って、まわりでくるくる踊って足元に焦りを積み上げる
ひとりよがりの自慰行為みたいな文章ばかり作ってきた
じぶんのこころにすら寄り添えない、脳みそだけがひとりあるきしてる文章
わたしはうまく生きられないって言って、なんだか正当化したような気になって、悲劇のヒロインみたいな気になって、ゆるされたような気がして、それでもほんとはゆるされてなんかなくて、ぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる
どうしたの、どうもしない、だいじょうぶ、だいじょうぶじゃない
しあわせになりたいな、愛せる人になりたいな、とくべつになりたいな、ゆるしてほしいな
魔法の杖も四次元ポケットもいらないから、愛したいし愛してほしいしがんばる才能と安心がほしい
ああ、わたし、ひとりよがりで利己的で、ほんとはわたしはわたしのことばっかの冷たい人間だって言われたことがある
本質を見抜かれたみたいで、吸血鬼になったみたいに、杭をグイッて押し込まれたみたいにどきっとした
そうなのかもしれないっておもった、わたし、ほんとはだれのことも愛してないのかもしれない
でもいま、たしかにわたしは、きみがすきだと感じている
愛せる人になりたいな、きみがわたしを愛せるような人、愛したいとおもってくれる人
きみを愛せるような人、きみのしあわせを願える人
未完成どうし仲良くしようよ
未完成だからきみがすきだよ
わたしみたいに必死に抗って隠して、土よりもアスファルトを、アスファルトよりもフローリングを踏んで、よろめいても倒れてもそれでも立とうとするきみがすきだよ
愛してるから生きててね
膝を抱えてうずくまるのもいいけれど、その両腕でわたしとハグをするのもわるくはなくない?
カレーよりハヤシライス派
ほんものとうそもの(姉のはなし)
姉を一言で表現すると、「ほんもの」だ
姉が書いているブログのURLを、実はわたしは知っていて、毎回チェックしている
姉の文章がすきだ、姉妹とか家族とかの贔屓目とか、そういうの抜きにして姉は本気でエッセイストとかライターとか、そういうのになればいいと思う
前にそう言ったら笑って流されたけど、わたしはかなり本気でそう思ってる
姉の紡ぎ出す言葉はものすごくて、パワーがあってエネルギッシュで、ギリギリの中で命を燃やして書いている、という感じがする
わたしの姉であるから、同じ家庭で育って、人生経験も似ているはずで、でも全然違う
わたしがこうしていっしょうけんめい誰かに伝われ、わたしの生きたしるしが残れ、と思って必死になって書いている文よりもはるかに熱くて、読んでいるこっちまで心が不安定になってしまいそうなくらい危うくて、それでもこれでもかってくらい力強い
本当に、魂が燃えている、という感じがする
そしてわたしは、その文を読む度に「姉はほんものだ」と感じて、同時に「わたしはにせものだ」と感じる
姉はいつだってわたしの前を歩いていた
わたしを構成するものはすべて姉から始まっている気がする
アイドルだって、読書だって、絵を書くことだって、ピアノだって書道だって英会話だって、始まりは全部姉がやっていたからだ
ピアノも書道も英会話も、最終的にはわたしの方が姉よりずっと長く続けたし、結局わたしの方が長く続けた分だけじょうずになった
でも姉は、わたしみたいに何かを捨てられずに抱えて歩いてもだもだすることをしないだけ
ずるずる引きずったんじゃなくて、自分から切り捨てたのだ
そしてその分だけ、いつも自分を高める何かを身につけている
そのことに気づけていない時期がわたしにもあって、無意識のうちに姉を見下していたことが、たぶんあった
ただいらない重たい荷物を持ち続けているだけで、自分は偉いのだと勘違いしていたときがあった
姉はほんもので、とっても敏いのできっとそのことに気づいていた
姉はわたしをとてもかわいがっている
かわいいねぇと言ってべったべたに触ってちゅーしようとしてくるし、お姉ちゃんがメイクしてあげるねと言ってすぐわたしの顔をいじりたがるし、誕生日にわたしが欲しいと言ったパンの抱き枕を抱えて帰ってきてくれたこともあった
でも同時に、とても憎んでいる
姉は心の病院に通っていて、薬がないと体調が悪くなってしまうくらいだ
ほんもので、敏いから、いろんなことがのしかかって、同じ経験をしたとしても姉の方が早く限界になってしまったんだと思う
姉の繊細な感性はなかなか理解されづらくて、中学生高校生の頃は学校にも行けたり行けなかったりで、ああいう母なので理解も得られず家にいても学校にいても地獄のような日々だったんだと思う
そしてちょうどそのとき、わたしも先述の大きな勘違いの真っ只中だったので、姉の力にはまったくなれなかった
むしろわたしは姉の敵であったのだろう、と思う
わたしは何も言わなかったけど、救おうともしなかったしただ黙って見ていた
きっとその黙って見ていても、伝わる何かがあったのだ
それは取り返しのつかないことなのだ
あとで記憶をなくしてしまうくらい、姉の心が不安定になってしまったときに、わたしに吐き捨てられた言葉をわたしは絶対一生わすれない
「あんたなんて本当は殺したいくらい憎い、大っ嫌い」
姉は全部を昇華して魂を燃やして文章を書ける人だ
まごうことなく「ほんもの」だ
大学生で東京に出てからは、姉の繊細さも面白さも才能もわかってくれる人が出来て、ここにいた時よりずっとたのしそうだ
わたしは、一生姉に勝てないし、一生姉に赦されない
わたしは、誰かを幸せにすることも、勇気づけることも、心臓がびりびりするくらいの衝撃を叩きつけることもできない
所詮、模倣でにせもので、根っこの部分が醜くて、それに気づいてどれだけ洗い流そうとしても、きっと知らないうちに人を傷つけてしまう
忘れちゃいけないこと、忘れてしまいそうになった
あがくのももがくのもわたしの自由だけど、わたしはわたしの本質を忘れてぜんぶなかったことにしちゃいけない
原罪の罪を背負ってくれるキリストはわたしにはいないし、贖罪は成立していないんだから、なぁ