無題
なみだがでる
なにもしていないのに、むしろなにもしていないからこそ、なみだがでる
悔しくて苦しくて不甲斐なくて自分が嫌いでなみだがでる
青くて若くて弱くて脆くて痛くて苦しくて目も当てられないほどの、まいにちの「わたし」の感情が、まいにちの「わたし」の日常が、スローモーションのように何事もなく、けれども屈折した景色が回るほどに目まぐるしく過ぎていく
昨日の愛せなかったわたしも、今日も愛せなかったわたしも、どうしても解けないまま1時間経った二次関数の問題も、何周しても覚えられない英単語帳も、ぜんぶぜんぶがわたしを責めたてて煽って、まわりでくるくる踊って足元に焦りを積み上げる
ひとりよがりの自慰行為みたいな文章ばかり作ってきた
じぶんのこころにすら寄り添えない、脳みそだけがひとりあるきしてる文章
わたしはうまく生きられないって言って、なんだか正当化したような気になって、悲劇のヒロインみたいな気になって、ゆるされたような気がして、それでもほんとはゆるされてなんかなくて、ぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる
どうしたの、どうもしない、だいじょうぶ、だいじょうぶじゃない
しあわせになりたいな、愛せる人になりたいな、とくべつになりたいな、ゆるしてほしいな
魔法の杖も四次元ポケットもいらないから、愛したいし愛してほしいしがんばる才能と安心がほしい
ああ、わたし、ひとりよがりで利己的で、ほんとはわたしはわたしのことばっかの冷たい人間だって言われたことがある
本質を見抜かれたみたいで、吸血鬼になったみたいに、杭をグイッて押し込まれたみたいにどきっとした
そうなのかもしれないっておもった、わたし、ほんとはだれのことも愛してないのかもしれない
でもいま、たしかにわたしは、きみがすきだと感じている
愛せる人になりたいな、きみがわたしを愛せるような人、愛したいとおもってくれる人
きみを愛せるような人、きみのしあわせを願える人
未完成どうし仲良くしようよ
未完成だからきみがすきだよ
わたしみたいに必死に抗って隠して、土よりもアスファルトを、アスファルトよりもフローリングを踏んで、よろめいても倒れてもそれでも立とうとするきみがすきだよ
愛してるから生きててね
膝を抱えてうずくまるのもいいけれど、その両腕でわたしとハグをするのもわるくはなくない?